大田区大森の平和の森公園にある「大森 海苔のふるさと館」に行きました。
「大森 海苔のふるさと館」とは、かつて大田区を中心に東京湾で行われてきた海苔の養殖について、文化の伝承と記録の場として作られたものです。
昭和38(1963)年春、大田区をはじめとする東京都沿岸での海苔養殖は、その長い歴史に幕を閉じました。江戸時代の中頃から作り始められた大田区の海辺の海苔は、味・量ともに全国一を誇り、ここから全国へ海苔生産方式が伝えられました。長らく先駆的役割を果たしてきた“海苔のふるさと”です。
大森 海苔のふるさと館
そんな、日本の海苔養殖を牽引してきた技術と歴史を学べる施設です。
開館時間 | 6月~8月 9:00-19:00 9月~5月 9:00-17:00 |
入館料 | 無料 |
休館日 | 第三月曜日、年末年始 |
アクセス | 〈公共交通機関〉 京急線・平和島駅から約徒歩15分 東京モノレール・流通センター駅から徒歩約15分 JR・大森駅から京急バス「森28系統 平和島循環」平和島五丁目下車徒歩3分 〈車〉 隣接の「大森ふるさとの浜辺公園」駐車場利用可 |
今回はJR大森駅からバスで向かいます。京浜東北線を降りて、東口に出ると、バスターミナルがあります。
大森海苔のふるさと館へのバスは、一番端の9番のりばから。京急バスの「平和島循環」に乗ります。
京急の大森海岸駅や東京モノレールの流通センター駅などを経由して工業地帯をぐるぐるとまわり、「平和島五丁目」に到着。循環系統なので、帰りも同じバス停から。
物流センターが並ぶエリアです。「大森ふるさとの浜辺公園」の表示に従って左折、徒歩すぐです。
手前に駐車場、目の前が海苔のふるさと館、奥が浜辺公園です。右手には平和の森公園。
まずは展示を見ていきます。入館料は無料。
入口でパンフレットをいただきます。1階は展示室とライブラリー。大田区に残る木造の「海苔船」や「べか船」が展示されており、展示の前まで来ると自動で音声と映像が流れます。音声は会話仕立てになっていて聴きごたえばっちり。10分弱で、かつての大森の海苔づくりについて概要がつかめます。「べか船」は海苔の摘み取りに使う船。寒い冬の海で素手で摘み取っていました。養殖のエリアが広がると、動力付きの「海苔船」が登場しました。
こちらは当時の「海苔つけ場」を再現したもの。こちらも会話の音声が流れます。海苔の収穫は寒い冬。夜のうちから海苔つけ作業が始まり、翌朝には天日干しされます。過酷な作業。詳しいつくり方はぜひこちらで。
ライブラリーはコロナ対策で封鎖中でした。1階にはイベントが行われる体験学習室もあるようです。
2階に進みましょう。こちらは主に海苔づくりについてと、地域の変遷について。当時の海苔づくりの道具などが、手順に沿って並べてあり見ごたえがあります。
海苔を育てるためのものを「ヒビ」と呼び、戦前までは木や竹が、戦後になってからは網が使われるようになりました。ヒビの製作や手入れはとても大変。収穫は冬で、干潮の間に行います。海苔は柔らかくて滑るので素手でしか取れなかったとか。その後の海苔つけ、海苔干し、保存、買い付けなども詳しく書かれています。
驚いたのが、イギリスのウェールズでは伝統的に海苔が食べられているということです。板海苔にするわけではなく、ペーストにしてパンに塗ったりするとか。一般的な食品ではないでしょうが、おもしろいです。また、中国や韓国でも海苔の養殖が行われています。
海苔の一年。
その他、大田区の埋め立てが進んでいく地図などがおもしろかったです。「ヒビ」を立てるための、高さがとんでもなく高い下駄「海苔下駄」の体験コーナーがありましたが、コロナ対策で休止中。展示室の奥の一角では企画展「海苔漁師の仕事着 前掛け編」をやっていました。
3階に進みます。こちらは展望テラスですが、コロナ対策の関係で自販機のみ利用可能。代わりに多摩川についての写真展が。大田区は多摩川の河口に位置します。多摩川から運ばれてくる豊富な栄養素により美味しい海苔が育ったそうです。
大型トラックが行きかう物流エリアとは思えない景色。
平日の昼間だったので、お客さんは私ともう一人だけ。イベントのある日は家族連れで賑わっていそうです。
浜辺まで来てみました。奥にはカワウやユリカモメが休んでいます。手前には小魚の群れがたくさんありました。右手に進むと大森ふるさとの浜辺公園があり、干潟もあります。「ふるさとの浜辺」の名の通りかつての大森の海岸を彷彿とさせる一角です。
体験系はコロナ対策で制限されているものの、かつて大森で一大産業だった海苔づくりについて気軽に学べる素晴らしい施設でした。ぜひ行ってみてください。
コメント
[…] […]