現在朝晩に運転されている八王子発着の成田エクスプレスですが、2024年3月のダイヤ改正により運転区間が短縮され、新宿~八王子間は廃止となることが発表されました。
https://www.jreast.co.jp/press/2023/hachioji/20231215_hc01.pdf
成田エクスプレスの中央線内での運転は1999年に高尾発着が設定されたことに始まります。最大で2往復運転されていました。訪日外国人観光客の増加に伴い、2014年からは富士急行線内に乗り入れ、河口湖発着が設定されました。2019年に河口湖観光輸送の特急「富士回遊号」が設定されると、成田エクスプレスは役割を譲り、再び高尾発着になります。
その後コロナ禍に入り、2021年には八王子発着に短縮されました。同時に大宮~新宿間も廃止され、新宿始発に。今回の2024年の改正で、25年間続いた成田エクスプレスの中央線内の運転が廃止となります。成田エクスプレスの過去の最大運行範囲は南は小田原と横須賀、北は大宮、西は河口湖でしたが、今後は大船と新宿に集約され、効率化されます。
現在は早朝と深夜に2往復運転されている八王子発着の成田エクスプレスですが、乗客の少なさに加え、使用車両E259系を房総特急「しおさい号」にまわす必要から、効率化が図られたものと見られます。
そんな成田エクスプレスに新宿~八王子間で乗車し、乗り納めしました。
成田エクスプレスは全車指定席。予約はえきねっとで行います。チケットレス割引35で830円になります。
ただ、成田エクスプレスには「A特急料金」が設定されており、通常の中央線特急の特急料金より高くなります。新宿を9分後に発車するはちおうじ5号の特急料金はチケットレス割引で660円。成田エクスプレスが170円高い計算になります。こうした料金体系も2024年3月の改正で見直され、成田空港駅、空港第2ビル駅を利用しない場合は他の特急と同じ運賃になりますが、残念ながら中央線内は廃止となります。
乗車するのは成田エクスプレス50号。新宿21:21発です。土休日は21:20発となります。
新宿駅にやってきました。通常、新宿駅の成田エクスプレスが発着するホームは中央線特急が発着する5、6番線。成田エクスプレスのほかに特急「スペーシアきぬがわ」「きぬがわ」「日光」「踊り子」「湘南」などが発着しています。
成田エクスプレスは12両編成での運転ですが、東京駅で分割・併合を行うものは6両編成で新宿駅にやってきます。八王子行きも東京駅で分割した6両編成です。
5番線には運行を終えて回送となる成田エクスプレスの車両が停車していました。もうこの21時台にはこの番線から出発する列車はないこと、もうすぐホームが閉鎖されることなどを告げるアナウンスが英語で繰り返し流れていました。最後の特急湘南も19:30に出てしまっています。もっとも、ホームが閉鎖されるのは23:12に成田エクスプレス54号新宿行きが5番線に到着してから。
では八王子行きの成田エクスプレスはどこに停車するのかというと、普段の5、6番線ではなく、中央線特急が発着する9、10番線です。駅の電光掲示板でも、中央線特急の欄に成田エクスプレス八王子行きの案内があります。10番線の特急あずさの後に成田エクスプレスが入ってくるようです。
10番線にきました。先発の特急あずさ55号松本行きが停車していました。通勤ライナーとして近距離の利用も多いことでしょう。
成田エクスプレスの停車位置を見にいきます。中央線に入る成田エクスプレスは6両編成です。「NEX」と書かれていました。
旅客向けの乗車位置案内もちゃんとあります。1日2便の八王子行きだけのための案内です。かつてはここに河口湖や高尾の文字がありました。今後は案内自体が撤去されます。
あずさが出発し、ホームが閑散としてきました。成田エクスプレスの次の列車は9分後の特急はちおうじ5号です。乗客がちらほらと現れ始めましたが、行き先が同じで料金が違うのですから、ほかの方ははちおうじに乗るのかもしれません。
成田エクスプレス50号が成田空港からやってきました。東京駅で大船行きと分割した6両編成。なかなかの乗車率ですが、大半の人が新宿駅で降りていきます。前面の塗装が「N’EX」から「SERIES E259」に変更されています。これは前述のE259系の房総特急「しおさい」への投入に向けて空港特急色を薄めたものです。成田エクスプレス50号は山手貨物線を北上後、代々木駅付近で渡り線を通って中央線に転線していきます。いつも成田エクスプレスが発着する5、6番線からも中央快速線に入れますが、そうすると上りの中央線快速と支障しますし、新宿からの客も拾いやすいように中央線特急ホームに停車するのでしょうか。
前から7号車、8号車と続き、一番後ろが12号車です。乗降の多い新宿駅で2分停車後、いよいよ八王子に向けて出発です。車内はガラガラですが、それでも新宿から乗車した人が何人かいたのが印象的でした。また、成田エクスプレスは他の中央線特急とは違い、空港アクセス特急という性格上停車駅が多く設定されています。
新宿を出ると次は吉祥寺に停まります。
ルートマップ上に現在の走行装置が出る画面では、かつての終着地である高尾までのマップが表示されます。この電車の実際の行き先は八王子なので八王子までが太字で表示されています。河口湖発着から高尾発着になった2019年から八王子発着になった2021年までにシステムが改修され、そのままだということだと思います。なお、大宮廃止は2022年、小田原、横須賀はもともと繁忙期の臨時列車として設定されていました。今後このE259系が特急しおさい号として運用される際にこの液晶ディスプレイがどう使われるか気になります。
このディスプレイでは、各駅の乗換案内や駅の構内図まで案内されます。そのほか運行情報や、成田空港行きの列車ではフライトインフォメーションも表示されます。日英中韓の4言語で繰り返しアナウンスされます。
吉祥寺駅の構内図が出てきました。
中央線内は他の快速列車や特急列車が詰まっていますから、あまりスピードは出ません。時刻表上では吉祥寺まで16分かかります。ちなみに中央線快速は新宿~吉祥寺間を15分で走ります。成田エクスプレスは他の列車の間を縫うようにして速度を加減しながら中央線内を走ります。阿佐ヶ谷駅で209系1000番台とすれ違いました。こちらもまもなく姿を消すでしょう。
まもなく吉祥寺駅に到着です。
吉祥寺に停車する特急列車は成田エクスプレスだけで、改正後は特急停車がゼロになります。なお、吉祥寺は特快は通過するのに特急の成田エクスプレスは停車するという駅です。
「吉祥寺駅に停車します。」という特急のアナウンスもこの成田エクスプレスが撤退すればなくなります。
続いて三鷹へと連続停車します。三鷹も現在は成田エクスプレス以外の特急停車はありません。2019年まではあずさ号、かいじ号の一部が停車していました。
三鷹で快速青梅行きを追い越します。
三鷹を出るといよいよスピードを出し始めました。続いての停車駅は国分寺です。国分寺も成田エクスプレス撤退後は特急停車がなくなります。
国分寺は中央線快速がすべて停車するほか、西武国分寺線、西武多摩湖線に乗り換えられます。成田エクスプレスから降りる人がちらほらいました。中央線内の停車駅のうち、三鷹と国分寺からは成田空港行きのリムジンバスがありません。そのため成田エクスプレスを重宝する人は一定数いたものと思います。
奥に西武国分寺線の列車が見えました。
走行位置案内もだいぶ西の方まで進んできました。
続いての停車駅は立川です。
立川に到着です。立川では6番線に入ります。快速高尾行きを隣のホームで退避させています。このあと6番線には後ろを走る特急はちおうじが12両編成でやってきます。
次は終点の八王子です。スピードを上げて多摩川を渡ります。
22:00、終点の八王子に到着しました。新宿~八王子間を39分で走りました。
デッキの液晶案内も。中央線内は八王子まで乗車する人がほとんどでした。中にはスーツケースを持った人もいて、成田空港からの需要もややあるのが伺えました。廃止後は後続のはちおうじ号が利用できますが、特急料金が別でかかることになります。
八王子の駅名標と絡めて撮影します。八王子駅での到着ホームは3番線。このあとはちおうじ号もこの3番線に到着します。
八王子駅で成田エクスプレスが見られるのももう最後。成田エクスプレスはこのあと豊田に向けて回送されます。このホームにはすぐに後続のはちおうじ号がやってきます。
足元を見ると、成田エクスプレスの乗車位置案内がありました。早朝の成田エクスプレス成田空港行きもこの3番線から出発します。また、同じく八王子始発のむさしの号も3番線発着です。注目したいのが、成田エクスプレス「1号車」となっているところです。私が乗ってきた成田エクスプレス50号は7号車~12号車の6両編成でしたが、早朝の八王子始発の成田エクスプレス3号、7号は1号車~6号車の6両編成として運行されます。
成田エクスプレスが回送される前に、4番線に211系が回送でやってきました。1日に2本だけある中央本線の211系普通列車の立川行きは、戻りは回送となります。成田エクスプレスと211系の並びはただでさえレアですが、今後はもうなくなりますね。
22:07、成田エクスプレスが回送されていきました。このあと特急はちおうじ5号が22:11に、そして成田エクスプレス52号が22:41に到着します。中央線特急の最終列車は特急かいじ59号甲府行きで、八王子に23:36に停車します。
立川駅でも成田エクスプレスの乗車位置案内を見ました。今後撤去されるでしょう。
成田エクスプレスの中央線内での最後の活躍なので、ぜひ乗りに行ってください。
新宿~八王子間のライナー特急「はちおうじ号」に乗車した記録はこちら。