東京都は、2023年10月25日より、日本橋~豊洲間で「TRY! 舟旅通勤」を始めました。
これは、日常の移動・観光の手段として舟運を定着させ、水辺の賑わいを創出させようと東京都が進めている取り組みで、過去の実証実験を経て、今回の航路開設に至りました。
2022年の実証実験「らくらく舟旅通勤」の様子はこちら。
運航日は毎週火曜、水曜、木曜の夕方で、運賃は大人500円、子ども250円。予約制です。所要時間は地下鉄を乗り継いだ場合と変わらない約20分です。運航は観光汽船興業と三井不動産が担当し、東京都が運賃の補助を行います。※毎月第二水曜日は定休日。祝日、年末年始は運休。
予約は「東京舟旅」のHPから行います。当日発売もありますが、予約優先となります。当日はクレジットカードのほか、PayPayや交通系ICカードでの支払いが可能です。
運行スケジュールは以下の通り。夕方に5往復します。
豊洲発 | 日本橋発 |
16:00 16:50 17:50 18:50 19:40 | 16:25 17:15 18:15 19:15 20:05 |
運航には日によって2種類の船(アーバンランチ、リムジンボート)が使われます。このうちアーバンランチの運行時には、自転車の積載が可能です。※自転車200円、最大4台まで
早速予約します。乗船したい便を選び、クレジットカードで決済すると、QRコードが発行されます。乗船時はQRコードを見せてチェックインとなります。
今回は、景色が楽しめるよう暗くなる前の豊洲16:00発に乗船します。
豊洲側ののりばは、「アーバンドックららぽーと豊洲」内の船着き場。普段こちらののりばからはTOKYO CRUISEが運航する浅草行きの水上バスが発着しています。
「TRY! 舟旅通勤」のポスターも貼られていました。
船着き場に出ます。秋晴れの良い天気。
ドックでは、舟旅通勤に使われる船が計3隻係留されていました。手前のより大型の船がアーバンドック、奥のより小型の船がリムジンボートです。
私の便はリムジンボートで運航されます。出発時間の5分前までにのりばに向かいます。
浅草行きや東京湾周遊は本日は欠航。この日は舟旅通勤の便だけのようです。
乗船する人数が多く、私は2便目に乗ることに。扉が開き、案内されます。
船内はソファーが並び、心地よい雰囲気。
デッキへ出られるタイプではないようで、客室内から景色を楽しみます。客室内は暖かく、ゆったりとしたシートで快適です。
いよいよ出港。跳ね橋であるアーバンゲートブリッジを越えて晴海運河に出ます。
晴海大橋と沈みゆく夕日が美しいです。奥に水上バスのヒミコが見えました。運河なので波が穏やかで全く揺れません。
晴海橋梁をくぐります。旧東京都港湾局専用線の廃線跡です。続いて春海橋もくぐります。
豊洲貯木場跡の横を通ります。コンクリートの柵のような構造物です。こうした景色は船からならではですね。
反対側は佃や月島エリア。このあたりの景色は水辺から眺めるのが一番。
越中島船着き場が見えました。東京水辺ラインの水上バスなどが発着しています。
越中島を過ぎると隅田川と合流です。中央大橋が見えました。
永代橋をくぐります。舟運が盛んな隅田川は多くの水上バスや屋形船などが行き交います。
隅田川を航行するのはほんの少しだけ。すぐに左折して日本橋川に入ります。白い豊海橋をくぐると日本橋川です。
ここからは日本橋川を上っていきます。
次の湊橋が通れる場所が狭いので、行き違いのために少々停まりました。しばらく待っていると、日本橋クルーズの船がやってきました。あちらにも乗ってみたいですね。
その湊橋をくぐります。
亀島川との分岐地点で頭上に首都高が合流してきました。首都高速6号向島線です。
茅場橋をくぐります。日本橋ももうすぐ。
東京証券取引所が見えてきました。今度は鎧橋をくぐります。
ここで、先に出発した1便目のリムジンボートと行き違いました。あちらも多くの乗客を乗せ、再び豊洲に戻っていきます。
川の上で首都高が複雑に絡み合います。江戸橋ジャンクションです。
首都高の橋げたや、護岸のコンクリートのデザインを眺めるのも楽しいもの。
最後の橋、江戸橋をくぐります。
ついに終点の日本橋が見えてきました。
日本橋では、日本橋はくぐらず手前の船着き場に停まります。
日本橋側ののりばは、地下鉄日本橋駅から徒歩3分、地下鉄三越前駅から徒歩2分の日本橋のふもと。普段こちらののりばからは、日本橋クルーズが運航する神田川クルーズや、東京湾ライナーが運航する朝潮運河行きの水上バスなどが発着しています。
船は折り返し豊洲行きになります。私が降りると同時に豊洲行きのお客さんが乗り込んできましたが、かなり多くの乗客がいるようでした。
最後に美しい日本橋を眺めて地下鉄で帰宅しました。
東京の舟運は、もともと隅田川などの水上バスはあったものの、観光要素がほとんどで、通勤で船を使う習慣はないといっていい状態でしたが、昨年までの実証実験を経て今回航路が開設され、乗客もそれなりにいるようでした。客層的にも通勤客とみられる方が多く、趣旨に合った使われ方をしているように感じられました。
また、2024年春には、別の事業者による「晴海~日ノ出航路」も開設される予定です。こうして通勤通学需要を満たす定期航路が増え、東京の舟運がますます活性化することを願います。
ソファ席でゆったりとくつろぎながら、東京の水辺の移りゆく景色を眺める20分間はあっという間。日本橋~豊洲航路ぜひ乗ってみてください。