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【都内 路線バス最長路線】都営バス「梅70」系統に乗る【青梅~花小金井】

バス
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都内の路線バスの最長路線である都営バス「梅70」系統(青梅車庫~花小金井駅)に全区間乗車しました。

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「梅70」系統とは

「梅70」系統は、都営バス青梅支所の路線で、その総距離は28キロ超。所要時間は約1時間45分。JR青梅線の青梅駅近くの青梅車庫から青梅市、瑞穂町、武蔵村山市、東村山市、小平市と5つの自治体を通って西武新宿線の花小金井駅まで向かいます。

全線を乗り通すと運賃は現金570円、IC567円。往復する場合は700円の「都営まるごときっぷ(一日乗車券)」を使うとお得です。500円の「都営バス一日乗車券」は都区内ではないため使えません。

「梅70」系統
運行系統 「梅70」青梅車庫~青梅駅~東青梅駅北口~箱根ヶ崎~武蔵村山市役所~大和操車所~東大和市駅~新小平駅~青梅街道駅~昭和病院~花小金井駅北口

青梅車庫/青梅駅からほぼ全線にわたって青梅街道を走ります。東青梅駅から青梅線と離れ、瑞穂町に入ってJR八高線の箱根ヶ崎駅の北側を通り、武蔵村山市内を進みます。一部の便は箱根ヶ崎駅構内に入ります。続いて東大和市に入り、西武拝島線の東大和市駅に停車、小平市内を抜け、JR武蔵野線の新小平駅、西武多摩湖線の青梅街道駅と連絡して終点の西武新宿線花小金井駅に入ります。

路線開設当初は青梅から青梅街道を通って中央線の荻窪駅(その後阿佐ヶ谷駅まで延伸)までを結んでいましたが、路線維持のために沿線自治体から補助金を受けることになりましたが、23区と当時の保谷市は支出しなかったため運行が短縮され、田無まで(その後西武新宿線の西武柳沢駅まで)となりました。

その後、2015年度より西東京市(保谷市と田無市が合併してできた市)が「梅70」への補助金を打ち切ったため、西東京市内での運行は終了し、現在の花小金井駅どまりの運行になっています。

「梅70」系統乗車記

今回は花小金井駅から青梅車庫まで全区間乗車します。しかも箱根ヶ崎駅経由の便に乗りたいと思います。まずは西武新宿線で花小金井駅にやってきました。

北口に出ます。「梅70」が発着するのは北口の2番のりば。ほかに、西武バスや立川バス、関東バス、西東京市のコミュニティバス「はなバス」が発着しています。

2番のりばは西武バス「吉64」系統・吉祥寺駅行きと共用です。西武バスのバス停標識に都営バスの案内もありました。西武バスは前乗り、都営バスは後ろ乗りなので、並ぶ場所も分かれています。

都営バスのバス停標識もその隣にありました。

非常に長い系統図が貼られていました。「梅70」系統にはなんと84か所ものバス停があります。花小金井駅発のバスは小平駅には入らないので、このバスは82か所に停まります。

吉祥寺駅行きの西武バスが出ると、ちょうど「梅70」の都営バスが到着しました。このバスが折り返し青梅車庫行きになります。

乗車するのは、平日10:08発の青梅車庫行き。箱根ヶ崎駅を経由する便です。もっとも長い距離を走る便に乗りたくて選びました。

青梅支所の営業所記号は「W」です。ナンバーは八王子ナンバー。

早速乗り込みます。今回はフリーパスの類は使わず、普通にICカードで乗ります。花小金井駅出発時の乗客は私とあと二人だけ。

ガラガラで出発。区間利用が多い。

車内に青梅支所の路線網が貼られていますが、「梅70」系統だけとんでもない長さです。市役所や病院などが載っていますが、この「梅70」系統は各自治体の市役所、町役場近くを通るのも特徴です。

定刻で花小金井駅を出発します。花小金井は「小金井」といいながら、小金井市ではなく小平市。しばらくは小平市内を走行します。

駅前通りを抜けて小平合同庁舎に停まると、青梅街道に入ります。このバスは基本的にずっと青梅街道を走ります。なので青梅街道の旅という視点でも楽しめます。

がらがらで出発しましたが、コンスタントに乗降があります。昭和病院では多くの人が乗りこんできました。

西武新宿線と交差します。青梅街道はこのあたりでは直線的に西に伸びています。

小平駅入口に到着。小平は西武新宿線と西武拝島線が分岐する主要駅です。このバスは小平駅前には入らず、青梅街道沿いに停まります。小平駅に入る便は小平駅が起終点の便です。青梅車庫~小平駅の便は比較的多く設定されています。

続いて西武多摩湖線の青梅街道駅に停車します。こちらは青梅街道沿いに駅があるため乗り換えに便利。実際多くの人が降りていきました。ちょうど西武9000系の電車が青梅街道駅を出て国分寺に向かって走っていくところでした。小平市役所の近くでもあります。

次の停留所は武蔵野線の新小平駅です。このあたりは鉄道駅との連絡が多く続きます。新小平駅も青梅街道沿いにあるため乗り換えは便利です。また、この付近は西武バスの小平営業所の出入庫路線とエリアが被っています。

すぐに今度は西武国分寺線の線路を渡り、西武拝島線と並走する形に。小川三差路で立川通りと分岐します。「小川一番」バス停近くには小川用水が流れています。小川一番の一番とは、昔年貢を納めるための土地の縦割りを一番、二番、と区分けしたことに由来します。

西武拝島線の高架と立体交差して、小平市から東大和市に入ります。ちょうど小平方面に電車が出ていきました。

北側の駅ロータリーに入り、東大和市駅に停車です。ここでかなりの乗降がありました。アミューズメント施設の「BIG BOX」やスケートリンクがありました。

「梅70」は1番のりばに停車します。東大和市駅からは多くの西武バスが立川方面などに出ています。このあたりの主要な駅です。このバスはこの先西武バス「立37」系統と並走します。

これまで西に向かっていましたが、これからは少し北上します。ちょうど花小金井駅行きの「梅70」とすれ違いました。

続いて東大和市役所入口付近で、西武バス「立37」系統・立川駅北口行きとすれ違いました。立川駅から東大和市駅を経由してこのバスと並走し、イオンモール武蔵村山まで1時間かけて向かう、長距離路線です。

青梅街道は新青梅街道と交差して、奈良橋の交差点で再び西に向かいます。このバスも青梅街道に忠実に走ります。少し離れていますが、玉川上水と並行する形です。

「貯水池下」に停まります。この北側にある狭山湖はかつて村山貯水池と呼ばれ、東京有数の観光地でした。私鉄も競って村山貯水池に向かって路線を伸ばし、現在の西武鉄道の路線として残っています。小平や東村山付近で西武線が複雑に絡みあっている所以でもあります。

このあたりから武蔵村山市に入ります。武蔵村山市は都内で唯一の鉄道が走らない市ですが、イオンモール武蔵村山を結集点として多くのバス路線が伸びており、立川駅、昭島駅、玉川上水駅などの主要駅へアクセスすることができます。この「梅70」系統もそんな武蔵村山市民の足として重要です。

「殿が谷」からは西多摩郡瑞穂町に入ります。瑞穂町には八高線が走っており、箱根ヶ崎駅も瑞穂町内の駅です。また、このあたりは立川バスの領域に入ります。小田急グループのバス会社です。

「箱根ヶ崎」バス停を経てしばし青梅街道を離れ、箱根ヶ崎駅構内に入っていきます。このあたりは江戸時代、箱根ヶ崎宿が置かれていました。

立川バスが2台と瑞穂町のコミュニティバスが停まっていました。コミュニティバスの運行は2021年に始まったばかりです。

箱根ヶ崎駅は瑞穂町唯一の駅で、立派な駅舎を構えています。かつてはみどりの窓口もありました。また、2022年まではこの箱根ヶ崎駅から東京駅まで中央線に直通する電車も何本かありました。さらに、箱根ヶ崎駅へは多摩都市モノレールの延伸計画があります。現在の終点の上北台駅から、先ほどの鉄道のない武蔵村山市を経由して瑞穂町に入り、箱根ヶ崎駅に至るというもので、2032年頃の開業を目指しています。実現すればこの東口にモノレールの駅舎ができる予定です。武蔵村山市にとっては悲願の鉄道路線となります。

さて、箱根ヶ崎駅を出ると再び元の青梅街道に戻ります。八高線と交差する踏切では、立体交差事業が進められているようです。

八高線を超えるとすぐに、瑞穂松原の交差点で新青梅街道と合流します。「西長岡」バス停からはいよいよ青梅市に入ります。

青梅市内に入る都営バスの路線が増えてきます。このバスと同じ青梅支所の路線です。西東京バスと西武バスも見られました。

「河辺駅入口」に停まります。河辺駅には入らず、青梅街道沿いの停車です。ついに青梅線沿いまできました。

東青梅三丁目の交差点で青梅街道から旧青梅街道に入ります。青梅街道は旧青梅街道より南の方を走り、千ヶ瀬バイパスと呼ばれます。

このバスは続いて「東青梅駅北口」に停車します。「東青梅駅」バス停は別にあり、複数の都営バスと西武バスが発着しています。青梅市役所もこの近くにあります。青梅線と交差し、青梅線の南側を進みます。

ついに青梅駅に入ります。

青梅駅に着きました。ここで大半の人が降りていきました。乗客は私ともう一人だけです。青梅駅周辺ではレトロな街づくりがおこなわれており、青梅駅舎も古くて美しい建築です。

バスの終点は青梅駅ではなく3つ先の青梅車庫。再び美しい建物が並ぶ旧青梅街道を走り、11:55についに青梅車庫に到着しました。

ずらっとバスが並びますが、なんといっても「梅70」は青梅支所の花形路線。都内の路線バスの最長路線のタイトルを有しています。

青梅支所をあとにし、青梅駅まで歩くことに。

途中、「此処に駅有りき」という石碑が。「中武馬車鉄道森下駅跡」とあります。中武馬車鉄道は青梅から現在の入間市、狭山市を経由して西武新宿線の狭山市駅(当時は川越鉄道の入間川駅)までを結んでいた馬車鉄道です。すでに現在の青梅線(当時は青梅鉄道)はありましたが、青梅の北部や入間エリアの鉄道空白地帯を結ぶ必要性から建設されましたが、日露戦争による馬の徴発や武蔵野鉄道の開業などによって経営不振に陥り、わずか17年で幕を閉じました。

途中の旧稲葉家住宅も見学。青梅有数の豪商でした。

建物があまりにも美しい「柳屋」さん。お米や狭山茶を扱っています。

青梅の観光も楽しめました。

路線バスの車両で1時間45分超ということでちょっと身構えていましたが、沿線の移り変わりを眺めていたら本当にあっという間で、もっと乗りたいと思うほどでした。全然疲れませんでした。現代においてこんなに珍しい路線なのに本数はかなりあるという、楽しみやすい路線です。都内最長路線バス路線、ぜひこのためだけにでも乗りに行くことをお勧めします。

また、自治体の補助を仰ぐ赤字路線ではありますが、全線にわたってコンスタントに乗車があり、生活に密着した路線であると感じました。今後、小平市や東大和市が補助金を打ち切れば路線短縮があり得ますが、乗車率を考えると杞憂であるように感じます。ただ、多摩モノレールの延伸開業や、並行バス路線の増便などで情勢が変わるかもしれません。今後も動向を見ていきたいですね。

ちなみに花小金井駅~青梅駅を鉄道で移動すると、拝島駅経由で西武線とJRを乗り継いで約50分、512円。「梅70」は1時間45分かかり、567円かかるので、バスのほうが高くつくという計算です。これが、花小金井駅~箱根ヶ崎駅だと鉄道が50分、471円なのに対して、「梅70」は57分、451円と健闘します。また、青梅駅~小平駅/新小平駅もバスのほうが少し安くなります。

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