東京メトロと都営地下鉄を乗り継ぐ場合、切符は両路線の合計金額から70円引きになります。ICカードの場合、乗り継ぎ時間が60分という制限がありますが、切符ではその制限がありません。また、実際にどのような経路で移動したかにかかわらず運賃は最短経路で計算されます。そのため、乗り継ぎ駅を目的地とし、用事を済ませたり、観光を楽しむことができます。
この場合、
- 紙のきっぷであること
- 東京メトロと都営地下鉄の乗り換え駅で、改札を出て乗り換える駅であること
- 乗り継ぎ駅までの運賃が切符の購入金額以下であること
が条件として挙げられます。②についてですが、多くの駅では東京メトロと都営地下鉄の改札は別ですが、九段下などは改札内で乗り換えられるため対象外です。
では実際に両社の改札外乗り換え駅はいくつあるのでしょうか。
新宿/新宿西口、新宿三丁目、市ヶ谷、神保町、新御茶ノ水/淡路町/小川町、秋葉原/岩本町、住吉、大手町、有楽町/日比谷、押上、浅草、人形町/水天宮前、日本橋、東銀座、新橋、中野坂上、青山一丁目、六本木、麻布十番、月島、清澄白河、門前仲町、上野広小路/上野御徒町/仲御徒町、本郷三丁目、春日/後楽園、飯田橋、東新宿
と、数多くの駅が対象となります。
おトクに使える例としてよく挙げられるのは、新宿から浅草に往復する移動です。新宿から浅草を単純往復する場合、ICで504円かかります(最安、東京メトロ利用)。ですが、乗り継ぎ切符であれば、290円で行けてしまいます。約200円もオトクになってしまうのです。
経路は以下のようになります。
往路 | 《東京メトロ利用》新宿~(東京メトロ丸ノ内線)~赤坂見附で乗り換え~(東京メトロ銀座線)~浅草 |
復路 | 《都営地下鉄利用》浅草~(都営浅草線)~東日本橋/馬喰横山で乗り換え~(都営新宿線)~新宿 |
往路は東京メトロだけで浅草に行き、改札を出て観光します。復路は都営地下鉄だけを乗り継いで新宿に戻ります。
ではどういうからくりなのかというと、前述のとおり、乗り継ぎ切符は最短経路で計算するため、運賃計算上の乗り継ぎ駅は新宿三丁目となります。
運賃計算上の経路 | 新宿~(東京メトロ丸ノ内線)~新宿三丁目で乗り換え~(都営新宿線)~新宿 |
新宿~新宿三丁目間はどちらの路線でも初乗り運賃(180円)であり、その合計金額の360円から70円引かれて290円となります。1枚の切符で2事業者以上の路線を利用するものを「連絡乗車券」といい、都営地下鉄と他の私鉄や、首都圏の私鉄間でも同様の乗り継ぎ割引制度があります。通常は10~20円程度ですが、東京メトロと都営地下鉄の間では70円引きという取り決めになっています。
この乗り継ぎはJR線の「大回り乗車」と似た構造であり、もちろん合法です。
では新宿~浅草以外ではどのようなルートが楽しいでしょうか。当然浅草から新宿も可能ですし、上記の乗り換え駅を見ると、六本木や上野御徒町、日本橋、月島など、観光や買い物、グルメで訪れるスポットが並んでいます。
また、起終点が別でも割安になる場合が多くあります。例えば新宿から六本木に行って遊び、池袋に戻る場合、普通に乗ると220円+252円で472円かかりますが、連絡乗車券を買えば290円で済みます。
では実際に移動してみましょう。今回は新宿から浅草まで290円で往復します。
東京メトロ丸ノ内線の新宿駅にやってきました。まずは東京メトロ線の運賃表を見てみましょう。浅草までは片道260円です。
ですが、今回買うのは都営地下鉄との新宿駅までの連絡切符。隣に掲げられている都営線連絡切符運賃表を見てみると、新宿駅までは290円であることがわかります。先ほど見た条件の「③乗り継ぎ駅までの運賃が切符の購入金額以下であること」を満たしています。
早速券売機で購入します。「きっぷを買う」を選択します。これと同じタイプの券売機ではなくても購入できます。
次に、「連絡きっぷを探す」を選択します。
すると、「都営線」の選択肢が出てくるので選択します。
運賃290円を選択します。
無事、連絡きっぷを購入できました。券面には「都営地下鉄線連絡」とあります。
早速乗っていきます。まずは新宿駅から丸ノ内線に乗車します。
東京メトロで都営線への連絡きっぷを購入したので東京メトロから乗りますが、都営線で購入すれば往路は都営線になります。
赤坂見附駅で東京メトロ銀座線に乗り換えです。対面で乗り換えられるのでらくらくですね。
すぐに終点の浅草駅に到着。
自動改札機に入れたきっぷは帰りも使うので忘れずに受け取ります。オレンジ色の自動改札機でなくても大丈夫ですので安心してください。
まずは雷門から!観光客でいっぱいの楽しい雰囲気です。
隅田川越しに見えるスカイツリーも浅草の定番。この日は暑くもなく、浅草を満喫することができました。
グルメも楽しんで再び新宿に戻ります。帰りは都営線で帰るので都営線ののりばに向かいます。
都営浅草線の大門・泉岳寺方面行きに乗車。やってきたのは京成の車両で、羽田空港行きでした。
東日本橋駅で乗り換えです。東日本橋駅と馬喰横山駅は乗り換え駅ですが、少し離れているので、一度改札を出てから乗り換えるスタイルです。
馬喰横山駅から今度は都営新宿線の新宿行きに乗車。
すぐに新宿駅に着きました。
新宿から浅草まで片道145円で遊びに行くことができました。
この乗継割引の連絡きっぷはほかにもさまざまな目的地で活用することができますし、起点と終点が別でもコスパよく移動できるので、ぜひ試してみてください。
参考:東京都交通局「都営地下鉄と東京メトロの乗り継ぎ」(https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/subway/fare/discount.html#c)