東京都稲城市は、現在貨物専用となっている武蔵野南線の、府中本町~稲城間の旅客化を目指す方針を明らかにしました。
武蔵野線の旅客運転は府中本町駅~南船橋駅間のみで、府中本町駅から鶴見駅までは貨物専用線となっています。この区間は旅客営業区間と区別して一般に「武蔵野南線」と呼ばれます。武蔵野南線の旅客化はかねてから、川崎市などの要望もあり、度々議論されてきましたが、地下区間がほとんどであるという理由などから断念されてきた経緯があります。

稲城市は今年の2月に、市の公式サイト上での回答を通じ、府中本町から稲城までの延伸に注力する方針を示しました。

稲城市を走る鉄道は、中央に京王相模原線、北部に南武線が存在しますが、地図には載らない武蔵野南線が京王線稲城駅付近で交差しています。
大半が地下区間である武蔵野南線ですが、稲城駅周辺は高架区間になっており、府中本町駅から一駅の距離であることからしても、現実性があるという判断のようです。

旅客化の意義として、市は、リニア中央新幹線神奈川県駅(仮称)への武蔵野線からのアクセス向上を挙げています。リニア中央新幹線は京王相模原線、横浜線の橋本駅に建設されており、開業すれば相模原線はそのアクセス路線となります。武蔵野線と接続することで、特に埼玉県内からのリニア中央新幹線へのアクセスがスムーズになります。また、縦の移動が課題の多摩地域にとって、一駅の延伸でも大きな意味を持つと言えそうです。

航空写真を見ると、京王線稲城駅と武蔵野南線の高架は50メートルほどの距離で隣接していることがわかります。貨物列車が頻繁に運行されるため、折り返し用の設備が必要です。
府中本町駅の武蔵野線ホームは貨物列車の線路と分かれており、折り返し用の引き上げ線も2本あります。

稲城にも例えば側線などを設ける土地の余裕はありそうです。

見に行ってみましょう。
京王線で稲城駅にやってきました。

ホームの端に行くと、ちょうど貨物列車が走ってきました。

このように、京王線のホームから武蔵野南線の高架は間近に見えます。乗り換えは容易です。


では両線の交差する付近に行ってみましょう。相模原線は丘陵のふもとに沿って進むため、線路の左右で高低差があります。地下深くを走る武蔵野南線が一瞬だけ顔を出すのがこの稲城です。

高架線の下にやってきました。

交差する付近は宅地が広がっていますが、京王線の駅側は、空き地と公園になっています。


この「百村(もむら)神化(じんが)児童公園」では、夏には盛大な盆踊りが行われるそうです。

新駅が開業すれば、リニアの乗り換え需要だけでなく、多摩地域の交通の結節点の一つとして、街の姿を変えることでしょう。


旅客化は、国土交通省の交通審議会でも答申されておらず、東京都としても計画はないようですが、受益者は稲城市だけでなく、武蔵野線沿線の埼玉県南西部や多摩地区一帯に及ぶと思われます。リニアの開業により新たな人の流れが生まれれば、稲城までの開業は長期的には費用対効果の高い投資となるかもしれません。
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