京急バスが運行する近距離高速バス「横浜駅(YCAT)~葉山・横須賀西地区線」に乗車しました。
これは、三浦半島の京急の鉄道路線がカバーしていない地域と横浜エリアを高速バスで結んでいるもので、湘南佐島なぎさの丘や電力中央研究所、横須賀市民病院、葉山などの主要なバス停から高速道路経由で横浜駅バスターミナル(YCAT)まで向かいます。一日中運行されていますが、時間により経由が異なります。
もともと「葉山線」と「横須賀西地区線」とで別々の路線でしたが、2020年に「横浜駅(YCAT)~葉山・横須賀西地区線」統合されました。PASMO、Suicaが利用可能です。
系統は統合されたものの、便によって「電力中央研究所/横須賀市民病院」発で横須賀西地区を細かく停まって横浜駅に行く便と、「湘南佐島なぎさの丘」発で葉山地区を経由して横浜駅に行く便とに大別されます。土休日でダイヤが異なるので注意してください。
かつては三浦半島の西側にも鉄道の計画がありました。三浦半島を一周するべく計画された路線はしかし、逗子線として逗子まで実現したのち、免許が失効しています。それをカバーするべく現在まで多くの路線バスが各京急線の駅まで運行されています。このバスもそうした鉄道空白地帯の不便を解消すべく設定されているものと思われます。
今回は平日の電力中央研究所発の便に横須賀市民病院から乗車していきます。電力中央研究所から横須賀西地区に細かく停まって横浜駅に向かう系統です。横須賀市民病院からは横浜駅行き高速バスのほかに、路線バスが逗子駅方面、横須賀駅方面、三崎口駅/三崎港方面と、三浦半島の各方面に路線が伸びている交通の結節点。国道134号線沿いにあります。
国道134号は横須賀を起点に三浦半島の西側をぐるりと回り、大磯まで至る主要道路。横須賀西地区や葉山、逗子地区において重要な幹線です。
14:00発の便がやってきました。京浜急行バス衣笠営業所のリムジンバスです。乗車時に運賃を支払います。ICカードが利用可能です。横浜駅まで現金1,040円、ICカード950円なのでICがお得。
乗車はなんと私一人。車内は一般的な4列シートでトイレはありません。ピンクのヘッドカバーが可愛らしいですね。
京急バスのフリーWi-Fiが設置されていました。電源等はありません。
国道134号から林交差点を左折して三崎街道に入ります。このバスは横須賀西地区のみの乗車はできず、金子までは乗車専用。
平日午後の横浜駅行きなので乗客がいないのかと思いきや、途中の各停留所でコンスタントに乗車があり、座席の三分の一が埋まるほどに。
衣笠ICの手前で「金子隧道」を通ります。トンネルは片側一車線で、対向車線のトンネルは「新金子隧道」。実はこの新金子隧道の方は昭和初期の京急の未成線の遺構だそうです。京急は現在のJR横須賀線衣笠駅から当時海軍基地がおかれていた林地区へ「京急武山線」として整備を進めていましたが、終戦を迎え、計画は中止に。新金子隧道は道路用のトンネルになりました。
金子隧道を抜けると衣笠ICから横浜横須賀道路に入ります。
横浜横須賀道路は三浦半島を縦断する高速道路で、三浦半島の中心にそびえる山々のやや東側に沿って走ります。
山の中をトンネルで貫くように走り、谷間の集落は高い位置で越えていきます。眼下には葉山町の古木庭地区が広がっていました。
逗子市に入り、JR横須賀線と交差します。
神武寺の近くの東逗子トンネル、六浦トンネルを抜けて、京急逗子線と交差します。このあたりはすでに横浜市金沢区。
バスは山深い区間を抜け、釜利谷ジャンクションで横浜横須賀道路金沢支線に入ります。本線は横浜市保土ヶ谷区の狩場ICまで繋がっていますが、金沢支線は並木ICまで伸びていて首都高速湾岸線に接続しています。
首都高速湾岸線に入り、金沢シーサイドラインと並走します。進行方向左手の車窓には磯子区の街が見えてきました。
古くからの日本庭園がある三渓園も。
続いて、行楽客でごった返す本牧市民プールが見えました。
本牧ジャンクションで首都高速神奈川3号狩場線に入り、横浜市外地を目指します。
続いて石川町ジャンクションで首都高速神奈川1号横羽線へ。地下に入って根岸線の下を進みます。
桜木町で再び地上に出て、みなとみらい料金所で首都高を降ります。
根岸線と並走します。高架線を通っているのが根岸線で、地上を通る線路は高島線。東海道貨物線の支線の一つで、鶴見駅まで繋がっています。
みなとみらい大通りからいよいよ横浜駅東口に入ります。
横浜駅行きのバスは2か所に停車します。まずは「改札口前」。横浜駅東口のポルタの横に停車します。ここで大半の人が降りていきました。横浜駅で鉄道に乗り換える場合や駅周辺でのお買い物などにはこちらで降りるのが便利。
続いて終点の横浜駅(YCAT)に到着です。YCATとは横浜シティエアーターミナルの略で、羽田空港、成田空港へのリムジンバスや中長距離高速バスなどのターミナルとなっています。外貨両替のカウンターなどもあります。
YCATから葉山・横須賀西地区へのバスののりばはY5番のりば。
葉山・横須賀西地区方面のバスでは運賃は降車時に支払います。行き先によって運賃が異なるためです。横浜駅行きでは乗客はみな横浜駅で降りるため、停留所によって乗務員さんが運賃を設定することが可能なので、乗車時に支払います。
また、この表によると葉山・横須賀西地区線は①三浦中央道湘南国際村経由、②国道134号線葉山経由、③三崎街道林交差点経由の3系統に分けられるようで、私が乗車してきたのは③の三崎街道林交差点経由の便でした。
朝の横浜駅行きや夕方から夜の葉山・横須賀西地区行きは混みあうでしょうが、平日午後の横浜駅行きということで乗客は少ないのではないかと想像していました。しかしコンスタントに乗車があり、沿線の皆さんにとって重要な存在なのだなと感じました。観光輸送ではない首都圏の近距離高速バスでは房総半島方面のバス路線群が有名ですが、三浦半島にもそうした路線があり、定着していることを知りました。
ぜひ葉山や横須賀西地区へ行く機会があれば乗車してみてください。