成田空港へ鉄道でアクセスする場合、大半の方はJR線や京成線に乗って成田空港駅か空港第2ビル駅で下車しますが、成田空港に鉄道でアクセスする方法はもう一つあります。
それは、京成東成田線の東成田駅を使う方法です。東成田駅も成田空港駅や空港第2ビル駅と同様、空港敷地内にあり、かつては東成田駅が本当の成田空港駅として使われていました。
東成田線は京成成田駅から伸びている路線で、成田空港開業当初は成田空港駅として、特急スカイライナーなども発着する駅でした。その後、成田新幹線計画がとん挫し、その用地を京成とJRで使うことになったため、成田空港アクセスの路線はそちらに移り、成田空港駅、空港第2ビル駅として開業して今に至ります。
そのため現在でも東成田駅から成田空港のターミナルへは繋がっており、成田空港へのアクセスに使うことができます。実用性はあまりなく、メリットといえば運賃が少し安くなることです。
運行経路 | 運賃 | 所要時間(日中) |
京成上野~成田空港(アクセス線経由) | 1,257円 | 1時間4分 |
京成上野~成田空港(本線経由) | 1,042円 | 1時間20分前後 |
京成上野~東成田 | 972円 | 1時間26分 |
このように、京成上野から向かう際、京成本線経由と比べ70円安くなります。所要時間は、乗車時間はあまり変わりませんが、東成田駅からの移動時間を考えると割に合わなそうです。もちろんスカイライナーを使えばたったの43分で成田空港に着きます。
実用性はあまりありませんが、かつての成田空港駅であり、現在も現役の駅として役割を担っている空港連絡駅の様子を伺い知ることは、その歴史を感じられ、勉強になるかもしれません。また、複雑な経緯で建てられた成田空港のあまり合理的ではないかたちと、普段使っている空港の知らない部分(一般向けに供用されているけど知らない場所)を知り、探検する楽しさがあるでしょう。
今回は京成東成田線に乗って東成田駅に行き、成田空港第2ターミナルまで徒歩で行ってみました。帰りは第2ターミナルから連絡バスで東成田駅に戻りました。
東成田線は5番線から発車します。京成本線からの直通列車もあります。6分で東成田駅に到着です。日中は40分に1本なので注意が必要です。
東成田駅は現役の駅にも関わらず、廃墟のような雰囲気を味わえる駅です。4番線あるうち、2つは閉鎖されています。かつては特急専用ホームであったそうです。ここからスカイライナーが発着していました。
使われていないホームを見ると、かつての「成田空港」の駅名標が残っています。
なんとスペーシアの広告も!
エスカレーターは片側が撤去されており、もう片方は登り専用です。ガタガタと大きな音を立てて動きます。
コンコースに出ます。壁もコンクリート剥き出しで、寒々しい感じ。
かつて営業していたレストランの跡地も。駅は全体的に無機質で薄暗く、旧共産圏に来たみたいです。
かつては特急専用ホームへのコンコースも繋がっていたはずですが、封鎖されています。
改札は空港駅にしては小さめ。おそらく右側にも改札があったことでしょう。
改札を出ると広いスペースがあり、荷物の多い旅行客がここを埋め尽くしていたことを想起させます。
券売機横に、手書きでこの駅について書かれていました。かつてのスカイライナーのイラストが可愛いですね。
改札を出て右手に、空港第2ビル駅への連絡通路があります。つまり、成田空港第二ターミナルに歩いて行けるということです。
まずは駅構内を探検してみます。「ターミナル連絡バス」ののりばの方に進んでみることにしました。
薄暗い通路を抜けていきます。
通路を抜けると警備員さんのいる建屋があり、そこを通って外に出ます。一般の人が本当にここにいていいのか?と一瞬戸惑うような物々しさもあります。連絡バスののりばへはさらに歩くようです。
左手に出ると貨物のエリアに出ます。エアホンコンの巨大な貨物機が目の前に現れ、空港の中にいることを実感しました。
もときた道を戻ります。ここが駅の入り口だとは思えないような風貌です。これが東成田駅の入り口です。
麻薬探知犬を連れた警察の方が駅周辺や構内を頻繁に行き来しています。何度もすれ違いました。
別の出入り口も登ってみることに。古い広告を見るのも楽しいものです。
こちらがもともとメインの出入り口のようです。かつてはここから連絡バスに乗り、ターミナルに移動していました。そのためリムジンバスなどの方にアクセスの容易さの面での優位性があったようです。
かつてのスカイライナーの写真が飾られていました。この東成田駅にスカイライナーとして発着していたのはこの第一、第二世代のスカイライナーです。
先ほどの入り口に戻り、いよいよターミナルへの連絡通路を歩きます。空港第2ビル駅まで500メートルだそうです。
誰もいない道を進みます。直線ですが、若干アップダウンしているようです。
誰ひとり見当たらず、音もせず、薄暗い通路に過剰なほどの監視カメラが設置された空間を進みます。滅多に体験できないようなスポットです。少し悪いことをしているような気分に。無機質ですが、時々掲示物が貼られており、安心します。芝山鉄道や周辺自治体のポスターです。
地図を見つけました。東成田駅は、成田空港駅と空港第2ビル駅の間にあることがわかります。空港第2ビル駅の方が近く、地下道で繋がっているのも納得です。
突然、賑やかな人の声が聞こえ始めました。角を曲がると出口が見えました。
唐突に空港第2ビル駅に着きます。京成線の改札口の前に繋がっていました。結局誰ともすれ違わず。大勢の観光客が楽しげに行き交う場所に出て、安心感を覚えます。
通路の入り口にはしっかりと東成田駅への通路である旨が表記されているにも関わらず、誰も使わないために職員専用通路か非常口のように感じます。
これまで何度も通ったことのある場所です。急にたどり着いたので違和感があります。
着いてみればいつもの成田空港。出発便を眺めたりして過ごしました。
さて、今度は無料のターミナル連絡バスで東成田駅に戻ります。ターミナル連絡バスは、第2ターミナル→第1ターミナル→東成田駅→第3ターミナル→第2ターミナルという順序で巡っています。
第2ターミナル18番から乗車します。車内は満席。
まずは第1ターミナルに停まります。次が東成田駅です。東成田駅バス停では通常乗り降りが少ないため、降りるには降車ボタンを押す必要があります。押さないとバスは通過します。
下車したのは当然私一人。再びさきほどの東成田駅の入り口ゲートへ。
警備員さんに見守られ東成田駅に戻ってきました。
成田空港内の秘境駅とでもいうべき楽しさでした。
成田空港へのアクセス時だけでなく、空港でのトランジットの時間や、航空科学博物館などの空港周辺施設に遊びに行った際などにも楽しめるスポットです。時間があれば実際に歩いてみてください。
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