東急バスでは、2024年4月1日より、青葉台駅から連節バス「タンデムライナー」の運行を開始します。
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これは、東急バスと横浜市によるバス路線の維持、充実に向けた取り組みで、輸送力の高い連節バスを用いて路線や本数を再編するものです。導入されるのは、横浜市青葉区の青葉台駅と日本体育大学横浜・健志台キャンパスを結ぶ「青61系統」です。沿線には横浜美術大学もあり、学生の利用が多い路線です。急行便も設定されます。
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車両は日野ブルーリボンハイブリッド連節バスで、愛称は「タンデムライナー」。タンデム(tandem)とは英語で縦に馬を繋いだ二頭馬車や、二つのものが連結されている状態を表す単語です。現在、東急バス青葉台営業所に3台が導入されており、2024年10月までに6台体制になる見込みです。
また、あわせて路線が再編され、これまで青葉台駅始発だった「青51系統」を、「緑山61系統」「緑山62系統」として日体大発に変更し、乗り継ぎ後に運賃がかからない乗り継ぎ割引を設定します。
また、連節バスが発着する日本体育大学横浜・健志台キャンパスの交通広場に、バリアフリー対応の待合施設(冷暖房完備、トイレ併設)が整備され、乗り継ぎの利便性が増しました。
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早速タンデムライナーに乗車してみます。東急田園都市線の青葉台駅にやってきました。
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「青61系統」が発着するのは北口バスターミナルの3番のりば。朝の一部の便のみ4番のりばも使うようです。それだけ需要の大きい路線。タンデムライナーの輸送力は従来の一般車両に比べ1.8倍。
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青葉台駅を出ると北西に進み、こどもの国駅の手前で右折、終点の日体大に向かいます。
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早速タンデムライナーを発見しました。車両は日野ブルーリボンハイブリッド連節バス。横浜市内での連節バスは、みなとみらい地区で横浜市営バスが運行する「ベイサイドブルー」に続いて2例目です。ベイサイドブルーも同型の車両を用いています。
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車体のデザインは東急田園都市線を走る新型車両2020系をモチーフとしています。スタイリッシュなデザインですね。
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ダイヤ改正に伴って、バス停名も変更されました。もともと「すみよし台」だったバス停が「横浜美術大学(すみよし台)」となり、以前の「横浜美術大学」バス停は通過となります。「横浜美術大学」バス停は連接バスが停車するのが難しいということでしょう。
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連接バスは現在はラッシュ時間帯と午後の急行便に充てられているようです。今後車両数が増えてくればさらに目にするようになりそう。実際に試運転車も見かけました。
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ところが、青葉台駅に到着するタンデムライナーは回送となってどこかに消えていきます。どうやら現在は午後は日体大→青葉台駅の急行便のみの運用のようです。
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なので別日にまずは普通の便で日体大に向かいました。対向の青葉台駅のバスは午後は激しく混んでいます。日体大からの乗車も多いですが、最も行列をなしているのは横浜美術大学(すみよし台)のようです。急行の停車がこの二つなのも頷けます。
それほど混まず日体大に到着しました。やはり横浜美術大学で大多数の方が下車しました。日体大の新しいターミナルは綺麗で、待合室にはトイレもあり、よく整備されています。
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連節バス導入と同時に設定された「緑山61系統」、「緑山62系統」はここで乗り継ぎとなります。小型バスが待機していました。乗り継ぎはICカード利用で同一のSuicaまたはPASMOを使うと乗り継ぎ割引が適用され、2乗車目は無料になります(90分以内に乗り継いだ場合)。
15:20ごろ、営業所から連接バスが日体大に回送で到着しました。
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予想通り、15:22発の急行にタンデムライナーが入ります。
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早速乗り込みます。車内は新車の香りがしました。4分前のバスにおおかたの学生が乗ったため、タンデムライナーは座席が余る程度で出発です。
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驚くことに、「緑山61系統」「緑山62系統」に乗り継ぐのではなく、「青61系統」でとんぼ返りしても乗り継ぎ割引が適用されるようで、運賃は差し引かれませんでした。
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タンデムライナーは内装も東急2020系と同じ。細かいこだわりが楽しいですね。
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車内にもタンデムライナーの乗車方法が載っていました。まだデビューして1ヶ月経たず、戸惑う方も多いようです。3つの扉があり、一番前が乗車用、後ろの二つが降車用です。料金は均一運賃の230円。
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「青61系統」の運行本数はすさまじく、およそ5分に1本やってきます。ラッシュ時には約3分間隔で出ていきます。常にバスがやってきて、それぞれに乗客が多いというドル箱路線です。早速次の青葉台駅行きとなるバスが日体大にやってきていました。また、需要に応じて臨時便も出しているようです。この日も「臨時便」と掲げられた「青61系統」のバスを見かけました。
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タンデムライナーも出発です。ターミナルを出て右折し、横浜美術大学に沿って進みます。カーブする際に連結部分が折れ曲がり、先頭部分が見られるのが連節バスの醍醐味。
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急な坂道を駆け上がります。
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住吉台電話局前の交差点を急な角度で左折し、途中の停留所である横浜美術大学(すみよし台)に到着です。
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Googleマップに登録されている路線図では交差点を直進して大回りするルートになっていますが、実際には以下のような鋭角の交差点を曲がります。
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横浜美術大学(すみよし台)で大量の学生さんたちが乗車してきました。輸送力の大きい連節バスでも立ち客が出るほど。しかも4分前には別のバスがきていますから、いかに乗客が多いかがわかります。
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あとは青葉台駅までノンストップ。駅まで止まらない旨のアナウンスがありました。もっとも、この区間では途中までの乗客は少なそうです。
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すぐに終点の日体大に到着です。
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タンデムライナーは折り返しの運用には就かず、回送となって走り去っていきました。
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都市部である横浜市内でも乗務員不足が深刻な昨今の状況で、今回はこうしてバスの大型化と路線の効率化が図られた形です。今後スムーズに定着していくことを願います。また、こうした利用はあるのに乗務員がいないという状況は全国各地に見られますが、連節バスの導入と乗り継ぎ割引制度がその打開策の良い先例になるといいですね。