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都営バスの赤字路線「里48」系統に乗る(日暮里~見沼代親水公園)

バス
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都営バス各営業所の路線の中でも屈指の赤字路線、「里48」系統に乗車しました。2015年度の資料では、青梅地区を走る都営バス最長路線である「梅70」系統に次いで2番目に損益の大きい路線でした。現在は減便されて朝夕のみの運行です。

「里48」系統は巣鴨営業所と南千住営業所の共同路線で、日暮里駅から見沼代親水公園駅までを結ぶ路線です。ほぼ並行して新交通システムである日暮里・舎人ライナーが走っています。2008年の日暮里・舎人ライナー開業までは、鉄道空白地帯を山手線駅まで繋ぐ一大幹線でした。開業後も日暮里・舎人ライナーを補完する目的から「里48」は残され、日暮里・舎人ライナーの混雑緩和の役割を任されています。

運行キロも比較的長く、総距離約10キロ。所要時間は45分。日暮里・舎人ライナーは日暮里~見沼代親水公園間を20分で結ぶので倍以上の時間がかかり、また、交通量の多い通りであるため定時性に欠ける面があります。

運行系統 「里48」日暮里駅~西日暮里駅~熊野前~扇大橋駅~江北六丁目団地~足立流通センター~中入谷~見沼代親水公園駅

日暮里駅を出ると、ほぼ全線にわたって尾久橋通りを走ります。途中、舎人公園のあたりで足立流通センターに寄るほかは、日暮里・舎人ライナーと並走して走ります。日暮里駅では、日暮里・舎人ライナー高架下のイベント広場前から出発。終点の見沼代親水公園駅前は、見沼代親水公園駅のロータリー内に入ります。

枝番の系統として「里48-2」系統、「里48-3」系統があり、「里48-2」は日暮里駅を出て扇大橋からは東京女子医大通りに入って東京女子医大足立医療センター、東京北部病院を経由して加賀団地に向かう循環系統、「里48-3」は江北駅を起点に東京女子医大足立医療センターを経由して一周する循環系統です。

2022年のダイヤ改正で「里48」は朝夕のみの運行となり、日中は「里48-2」と「里48-3」のみが走っています。これは東京女子医科大学附属足立医療センターの開院に伴い、日暮里・舎人ライナーでは賄いにくい通院需要を補うべく設定されたもので、「里48-3」はこの時に開設されています。また、「里48」もすべての便が見沼代親水公園駅まで行くわけではなく、「江北六丁目団地」止まりも多く設定されています。

今回は日暮里駅から見沼代親水公園駅まで全区間に乗車します。日暮里駅の京成側の東口に出ます。JR、京成線の駅に突っ込むようにして日暮里・舎人ライナーの駅が接続しており、ホームが3階、コンコースが2階にあります。また京成線のホームも下りが3階、上りが1階の3階建てとなっており、日暮里駅は立体的なターミナル駅となっています。

日暮里駅の「里48」ののりばは3番のりば。「日暮里駅前イベント広場」の前にあります。上の写真の停車しているバスは「里48-2」系統・加賀団地行きのバスです。

私が乗る16:30発の見沼代親水公園駅行きがやってきました。夕方の最初の便です。巣鴨営業所の車両で、練馬ナンバーです。

早速乗り込みます。日暮里駅でほぼすべての座席が埋まるほどの混雑率。先ほど見た加賀団地行きも混雑していました。

日暮里駅を出ると西日暮里二丁目の交差点を左折して尾久橋通りに入ります。これからずっと日暮里・舎人ライナーの高架を真上に見ながら走ります。常磐線の高架とアンダーパスで交差しました。日暮里・舎人ライナーはさらにその上を通っています。

続いて京成本線と立体交差します。

「西日暮里駅前」に着きました。JR線、東京メトロ千代田線、そして日暮里・舎人ライナーの西日暮里駅と乗り換え可能です。奥に見えるのは京成本線の線路。

続いて地上を走る常磐線の貨物線とアンダーパスで交差します。大宮方面から常磐線方面へ伸びる線路です。このあたりは交通の結節点で、多くの線路が行き交います。

尾久橋通りを順調に北上し、明治通りと交差、「赤土小学校前」を出ると、都電荒川線と交差する「熊野前」に停車します。ここは都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーと、都営交通が交わるメッカ。近くに都立大学もあります。

熊野前を出るとすぐに尾久橋を渡ります。下を流れるのは隅田川。ここで、荒川区から足立区に入ります。

隅田川と荒川は隣接していますが、その間の土地にも商業施設やマンションなどが建ち並んでおり、日暮里・舎人ライナーの駅、足立小台駅もあります。このバスも「足立小台駅前」に停車します。

すぐに今度は荒川を渡ります。荒川に架かる橋は扇大橋。

扇大橋を渡って首都高速中央環状線と交差し、扇、江北地区を進みます。各停留所でコンスタントに乗降があるのが印象的でした。バスは日暮里・舎人ライナーよりさらに細かく停車するため、そうした強みが評価されている証左です。

環七通りと交差し、西新井地区に入ります。環七通りのオーバーパスのさらに上を日暮里・舎人ライナーが走るという立体的な構造が楽しいですね。

バスは谷在家地区に入ります。「谷在家(やざいけ)」とは珍しい地名ですが、由来ははっきりしていないそうです。

舎人公園に入ると「舎人公園前」に停まり、バスは日暮里・舎人ライナーと離れて左折します。

舎人公園通りに入ってさらに右折し、「足立流通センター」に停車。北足立市場や各社の物流拠点などが集まったエリアに乗り込みます。これもバスならではの細かな動き。国際興業バスの路線も通っています。

舎人公園北通りから再び日暮里・舎人ライナーに合流し、舎人駅を経てさらに北上、終点の見沼代親水公園駅に到着です。

西口のバスターミナルに停車します。ちょうど東武バスセントラルの「竹03」系統・竹の塚駅西口行きが出ていくところでした。ほかに東武バスセントラルの「竹07」系統、「草加22」系統、国際興業バスの「西22」系統、「パリポリくんバス」、「みんななかまバス」が発着しており、足立区北部の交通拠点として機能しています。

なんと今回は1分早い到着でした。

「里48」の見沼代親水公園駅前からののりばは3番のりば。この系統のみのバス停です。

バスはこのあと折り返し日暮里駅行きとなります。

帰りは日暮里・舎人ライナーで帰ることに。見沼代親水公園駅から先は延伸計画はありませんが、可能な構造になっているようです。ここからすぐ先は埼玉県草加市、川口市。

都営バスの見沼代親水公園駅までの日中の運行はなくなりましたが、今回乗車した便にも終点まで乗客があり、夕方にはこうしてしっかりと需要があることがわかりました。

駅に振替輸送の案内が貼られていました。日暮里・舎人ライナーは西日暮里以北は熊野前の都電荒川線を除くと他の鉄道路線との接続がないため、バスが重要な代替手段となります。近隣の各路線へバス路線が伸びています。2021年の日暮里・舎人ライナーの脱線事故の際は、「里48」が大きな役割を果たしました。

私は日暮里・舎人ライナーに乗り込み、見沼代親水公園駅を後にしました。一番後ろの座席から景色を楽しみます。舎人公園駅は2面3線の構造で、真ん中の軌道は車両基地に伸びています。車両基地は舎人公園の地下にあります。

日暮里・舎人ライナーの開業で当該エリアの輸送の役割はバスから鉄道に移りましたが、日暮里・舎人ライナーの混雑率は大変高く、足立区は「里48」への分散乗車を呼びかけるほど。沿線住民のみならず、埼玉県草加市、川口市からのバス路線も開通し、両市の在住者の都内への通勤通学にも使われるようになりました。混雑率の改善が強く求められていますが、すでに高頻度運行されており、都としてはこれ以上の対策はできないとのこと。であれば「里48」の重要性は再び高まっているといえるでしょう。具体的には、現在朝夕のみに減便された「里48」の増発のほか、朝夕に急行運転の系統を用意するなどが考えられます。

実際に「里48」に乗車してみて、これだけ人の移動が多い路線だと鉄道で掬いきれない細かな需要がしっかりあると感じました。ただ、乗客が多いとはいえこの系統は単体で考えると赤字路線。公共交通の難しさを感じます。一方で日暮里・舎人ライナーは混雑の激しい路線。鉄道の側がこれ以上キャパシティーを増やせない以上、鉄道とバスとのベストな組み合わせこそが求められるのではないでしょうか。

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