「TABETEレスキュー直売所」第2回実証実験がスタート
東武鉄道では、東武東上線を活用した農産物の輸送と直売の実証実験を行っています。これは、フードシェアリングサービス「TABETE」が埼玉県の東松山市、滑川町、嵐山町、小川町、鳩山町のJA直売所で閉店までに売れ残った農産物を、東武東上線を利用して当日中に池袋駅まで輸送し、販売するというものです。
本実証実験では、JA 埼玉中央東松山農産物直売所「いなほてらす」閉店後、当日売れ残った農産物をコークッキングが買い取り、東上線 森林公園駅から列車に積み込み池袋駅まで輸送して池袋駅構内のイベントスペースにて特別価格で販売します。なお、となります。
当社は、多くの農産物が廃棄となっている食品ロスという社会課題の解決に貢献するために、当社が有する鉄道輸送やイベントスペースを活用し、本実証実験に参加します。
当社では、SDGsの理念に賛同し、当社が有する様々なサービスを活用することで社会課題の解決に貢献していくとともに、地域をつなぐ鉄道事業者として、沿線地域特産品等の鉄道輸送など旅客輸送だけに留まらない新たな輸送サービスを検討し、沿線の魅力発信・誘客・利便性向上に努めることで活気あふれる地域づくりに貢献してまいります。
東武鉄道
JAで売れ残った農産物を食品ロス削減の目的で民間企業が買い取り、鉄道で輸送、駅で販売するという取り組みは日本初だそうです。
第2回目の期間は、2021年6月21日~7月30日で、月・水・金(祝日を除く)に行われます。
輸送列車は、森林公園駅16:58発の快速急行池袋行き。池袋駅には17:49に着きます。使用車両は、東武鉄道500890型。野菜コンテナの積み込み位置は先頭車両の1番前のスペースで、コンテナがドアを一つふさぐため、そこからは乗り降りができません。
販売場所は、東武池袋駅南口改札外で、19:00頃からとなるそうです。
①16:00 各直売所の閉店後、農産物を回収し森林公園駅に持っていく②16:58 森林公園駅で快速急行池袋行きの先頭車両に積み込む③17:49 東武池袋駅に到着、販売場所に運搬④19:00頃 東武池袋駅南口改札外にて販売という流れになります。貨客混載の動きは各社で見られるようになってきましたが、コロナ禍での減収対策だけでなく、フードロスの問題にも取り組める素敵な仕組みになりそうです。
野菜と一緒に快速急行に乗ってみた
販売される農産物を購入するだけでなく、実際に運搬される様子を見学しようと、森林公園駅にやってきました。
こちらが輸送に使われる、快速急行池袋行きです。コンテナが乗り込むのは先頭車両の一番前。駅のアナウンスでその旨の案内がありました。
農産物が運ばれてきました。お邪魔にならないよう遠くから見ます。
車両は50090系。ロング/クロス対応の電車で、Wi-Fiもついています。この電車は池袋から折り返しTJライナーになりますが、送り込みである池袋行きもクロスシートで運転されます。
農産物には添乗の方がいらっしゃって、一般の乗客とともに池袋を目指します。
車内でも、フードロス削減のために農産物を運んでいること、そのため一番前の車両の一番前のドアひとつが開かないことなどが丁寧にアナウンスされていました。
東松山周辺は、車窓から美しい田園風景が見られます。
17:49、池袋駅に到着。農産物が積み下ろされます。同時に、これからTJライナーとしての運用に就くため、車内清掃と座席の転換が行われていました。
レスキュー直売所の案内が池袋駅に貼られていました。
「TABETEレスキュー直売所」で新鮮な農産物を購入
では早速購入してみましょう。場所は1階の東武線池袋駅南口の改札外スペースです。
場所は、1階の南口改札の外で、自動券売機などが並んでいる前のスペースです。すでにスペースが区切られていました。
だいたい19時頃からとのことなので、時間になったら向かいます。行ってみると、すでに長い列ができていました。ラインナップは、福袋形式(中身がお任せ)のレスキューセット500円と、バラ売りのお野菜の袋(この日はきゅうり、なすなど)100円、さらに、ブルーベリーのパック大500円、小300円となっていました。
レスキュセットの内容として見えたのは、トマト、きゅうり、なす、ピーマン、枝豆、いんげん、モロヘイヤ、瓜類など新鮮な夏の野菜。
私が購入したのはレスキューセットと少のブルーベリーパック。合計800円です。会計時、「レスキューありがとうございます。」と言っていただきました。
レスキューセッの中身は、鳩山町産のきゅうりが2袋、滑川町産のピーマンが1袋、川島町産のピーマンが1袋で、それぞれたっぷり入っていました。これ全部で500円。露地物で、とても新鮮です。
続いて、嵐山町産のブルーベリー。こちらもたっぷり入っています。ジャムにしてもいいかも。大変お得なお買い物ができました。
感想
かつては鉄道による貨物輸送は私鉄でも一般的でしたが、モータリゼーションとともに大きく縮小していきました。今回このように、地域の売れ残った農産物を都会で消費する、というのは何重にも理にかなった取り組みです。都会向けに出される農産物は規格に適合した大量生産が可能な野菜がほとんどですが、道の駅や直売所など産地内で消費される野菜は路地モノや珍しい地域野菜も多く、都会の人にも魅力的です。これまでそれらの野菜が輸送コストや安定的な供給と合致しないことでフードロスが生まれていましたが、このように鉄道で貨客混載することで可能性が生まれるというのは素敵なことです。新たに輸送手段や場所を作るのではなく、既存のものを「シェア」することで生まれる経済には大きな可能性があります。通勤ラッシュとは逆方向の上り線で運び、都会の帰宅時間に巨大ターミナルの池袋駅で直売所と同じものが買えるというのは、誰にとってもよいことのように感じます。直売所の利用者もこれまで通り買えるわけです。実証実験を経て、今後、駅までの運搬手段や運び賃、車内で添乗する方の調整など、うまい仕組みが整って恒常的な販売がなされることを願います。
追記 本格営業スタート!
実証実験を経て、8月2日より本稼働となるそうです。今後も引き続き買えるということで、楽しみです。最新情報はTABETEレスキュー直売所さんのTwitterをチェックしてみてください。
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