大宮駅から出ている新交通システム「ニューシャトル」に全線乗車しました。「ニューシャトル」の正式名称は埼玉新都市交通伊奈線といい、さいたま市大宮区、北区、上尾市、伊奈町を経由して内宿駅までを結んでいます。
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全線が新幹線の高架横のスペースを使用しており、大宮~丸山間の複線区間は東北・上越新幹線の両側を、丸山~内宿駅間の単線区間は上越新幹線の西側を走っています。高架線であるため人身事故等も非常に少なく、他線との乗り入れもないことから、定時性に優れた鉄道です。
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このニューシャトルは、埼京線と同様、当時反対運動が盛り上がっていた新幹線建設への見返りとして建設されました。1983年に大宮~羽貫間で先行開業し、1990年に羽貫~内宿間が延伸開業しました。新交通システムにもいろいろあり、ニューシャトルは側道案内軌条方式で、ATCによる車内信号閉塞方式での手動運転を行い、ホームドアも設置されていません。運行は日中は主に10分おき、朝夕は3~5分間隔で高密度で運行されています。
また、大宮駅ではループ式の折り返しを採用しているのが特徴です。終点の内宿駅や、車庫のある丸山駅では通常の折り返し方式なので、1往復するごとに車両の前後が入れ替わります。
早速乗っていきましょう。大宮駅に来ました。
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ニューシャトルの駅は大宮駅の西側にあります。両側にルミネの店舗が並ぶ「てっぱく通り」を抜けると見えてきます。
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反対側の東武野田線の駅の雰囲気となんとなく似ていますね。
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「ニューシャトル1日フリー乗車券」を購入。全線の往復分の運賃と同額です。私は丸山駅でも途中下車したいので、こちらを購入することで少しお得になりました。
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ただ1日フリー乗車券は自動改札機が使えないので、改札口で日付を刻印してもらいます。ちなみにニューシャトルではPASMOではなくSuicaの自動改札機/簡易改札機が設置されています。JR東日本が筆頭株主であるためです。
前述の通り大宮駅はループ状の折り返し構造なので、ホームは新幹線と垂直に交わる構造で、1面1線。路線は新幹線と並行しているのに、ホームは垂直の位置にあるのがおもしろいです。
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見づらいですが、このように大きなカーブを描いてホームに入ります。
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大宮から終点の内宿までは25分。大宮で1時間ほど時間を潰す際にぴったり。
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車両は1050系、2000系、2020系と3種類あります。まずやってきたのは最新型の2020系。アルミ製の車体で、特徴的なデザインです。2015年導入の「グリーンクリスタル」カラーを纏った21編成。
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早速乗り込みましょう。日中の昼間ですがお客さんが多く、あまり写真は撮れず。大宮を出るとひたすらカーブしながら新幹線の方向に車体を向けます。高い位置を走るので見晴らしがいいです。
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次の鉄道博物館駅まではゆっくり進みます。鉄道博物館へのアクセス路線として重要で、この区間だけ乗ったことある人も多いでしょう。もともとは大成駅という名称でした。
鉄道博物館を出るとにわかにスピードを上げ、最高時速60キロにまで到達します。新幹線の線路も見えます。
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鉄道博物館~加茂宮間でJR高崎線、川越線と分岐します。東北・上越新幹線は大宮を出ると宇都宮線と高崎線のちょうど間の位置を走っていき、ニューシャトルの丸山駅付近で東北新幹線、上越新幹線と分岐するわけです。
丸山まではこのように両側にホームがあり、新幹線の線路の下にコンコースがあります。
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東宮原、今羽、吉野原と北区内を進んでいきます。晴れた日には富士山や秩父の山々も見えるそうです。
徐々に新幹線の一番奥の線路が迫り上がっていきます。上越新幹線の上り線です。もうすぐ東北新幹線の線路と立体交差しなければならないためです。上越新幹線の下り線は一番手前にあります。
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時折新幹線が高速で駆け抜けていきます。新幹線と並走する楽しい経験ができます。
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車両基地のある丸山駅に到着しました。あとで降りて見てみます。ここから終点までは伊奈町。奥に東北新幹線が分岐していくのが見えます。ニューシャトルは上越新幹線沿いを進みます。
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丸山から先はこのような1面2線の島式ホームになります。下り内宿行きが進行方向右側のホーム(本線)、上り大宮行きが右側のホーム(側線)を使うようです。
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空いてきたので車内を見てみましょう。2020系は内装も近未来的。
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島式ホームは前面から見るとこんな感じ。下りは本線側を使います。日中は各駅で離合があるわけではありません。
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終点の内宿に到着しました。降りる人は結構います。
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駅舎は簡易改札機と売店のみ。きっぷを窓口の方に見せて出場します。
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駅前にはロータリーがあり、伊奈町のコミュニティバスと丸健つばさ交通の路線バス「けんちゃんバス」が発着しています。また、周囲にコンビニやドラッグストアなどがあります。
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では再び乗車し、車両基地のある丸山まで向かいましょう。停車していたのは2000系、ブルーの05編成です。2012年に登場しました。
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座席も一昔前の感じ。
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今度は後面展望を楽しみます。ニューシャトルはワンマン運転。
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伊奈町や上尾市内はまだまだ緑が残っています。時折新幹線が駆け抜けます。
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丸山に到着。乗り降りする人は数名でした。
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丸山駅は2面3線の構造になっており、真ん中のホームは丸山始発/終着の列車のためのホームだと思われます。
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大宮方面のホームの頭上には、一際高い上越新幹線上りの線路が。
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真ん中の軌道が車両基地への出入庫の軌道ですが、どちら側からどちら側へも行けるように複雑に分岐しています。
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改札を出てみましょう。こちらも簡易改札機と売店。アキュアの自動販売機があり、JR東日本との色濃い関係を伺わせます。
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車両基地に来ました。ニューシャトルの本社もあります。
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朝ラッシュを終えて夕方の出番を待つ2020系たち。
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そして最古参の1050系。開業当時の車両ではなく、二代目で、内宿までの全線開業時に登場しました。
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車両基地をぐるっとまわり、今度は東北新幹線と上越新幹線の分岐点を見にいきます。一度見てみたかった場所です。
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駅の東側には「伊奈氏屋敷跡」が。伊奈町の名前の由来は当然伊奈氏です。長野の伊那出身であることから伊奈と名乗ったそうです。
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車両基地を横断する橋からも車両基地の様子がよく見えます。
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そして反対側。東北新幹線と上越新幹線が分岐していきます。右側の上越新幹線の上り線が一段高い位置にあるのは、東北新幹線の線路と立体交差するためです。
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これほど高い位置を走る新幹線の構造は、さながら連続するビルのよう。
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ニューシャトルはこの二段目の部分を走っており、新幹線と橋脚を共用しています。内宿から先、鴻巣への延伸案もあるようですが、内宿から先はこのように建設当初から構造を共有していないため、あらたに高架線を建設する必要があり、多額の費用がかかるとか。
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再び乗り込みます。次にやってきたのも2000系。
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今度は新幹線の東側を走ります。東北新幹線の東京行きに一瞬で追い抜かれながら一路大宮へ。
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さいたま市内に入って再び混み始め、ループ線を大きくカーブしながら大宮駅に到着です。
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大宮駅で再びたくさんのお客さんを乗せて内宿へ走っていきました。
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一際高い高架線を走り、新幹線も見られる楽しい鉄道です。ぜひ乗ってみてください。