大江戸線延伸の概要
都営大江戸線には現在の終点である光が丘駅から西に延伸し、埼玉県の東所沢駅まで結ぶ計画がありますが、このうち、光が丘駅~大泉学園町駅(仮称)までの延伸が現実味を帯びてきました。東京都は平成27年にとりまとめた「広域交通ネットワーク計画」の中で、都営大江戸線の延伸は、整備について優先的に検討すべき5路線の一つに位置づけました。また、平成28年の交通政策審議会での答申では、24の鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトを選定し、なかでも、都営大江戸線の延伸は「進めるべき」6つのプロジェクトに選ばれています。
都営大江戸線は東京第12号線として誕生したので、「12号線延伸」とも呼ばれます。全区間が練馬区内です。沿線は広大な住宅地ですが、周囲の西武池袋線、東武東上線、JR武蔵野線のどれからも離れており、鉄道空白地帯として長年延伸が熱望されてきました。
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光が丘駅~大泉学園町駅間での延伸は、地上部分の道路の整備(都市計画道路補助230号線)が前提となっており、すでに事業化され一部は開通しています。また、練馬区によると、用地確保率はすでに8割を超えるそうです。
設置される予定の駅は3駅。それぞれ、土支田駅(仮称)、大泉町駅(仮称)、大泉学園町駅(仮称)となります。それぞれの駅予定地の現在の様子と、周囲の住環境などを見に行きました。
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光が丘駅
現在の終点である光が丘駅は1面2線の構造で、1番線は降車専用ホームになっています。開業すれば「大泉学園町駅方面」などとなるでしょう。線路は2本の引き上げ線(一旦引き上げて折り返し運転している)と、この先にある高松車庫への2本の出入庫線が続いています。
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周囲には光が丘団地と光が丘公園、商業施設の光が丘IMAが広がり、大江戸線の単独駅では勝どき駅についで利用人口の多い駅です。光が丘駅はこの都道443号(南田中町旭町線・補助第172号線)の下にあります。
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高松車庫は光が丘駅から少し離れた高松5丁目にあり、地下2階建ての車両基地となっています。
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土支田駅(仮称)
大江戸線の延伸区間は、都道443号の地下を進み、笹目通りの交差点を超えます。(ここから補助230号線となる)。歩道が広く取られ、自転車専用レーンも設けてあります。周囲にはスーパーやドラッグストア、コンビニなどがそろっています。
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現在老人ホーム「タムスさくらの杜 練馬」と「ほっともっと」の間にある土地が、土支田駅予定地です。最寄りのバス停は、光が丘駅行きのバスがやってくる「高松幼稚園西」。
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駅予定地周辺はすでにロータリーとなっており、誰でも歩けるようになっています。延伸の機運を盛り上げる看板が大きく掲げられていました。
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現在土支田エリアからは、光が丘駅、成増駅、石神井公園駅に頻繫にバスが出ています。練馬区によると、開通すれば新宿までの所要時間は11分短縮されます。
大泉町駅(仮称)
新路線は土支田駅を出てさらに補助230号線の直下を進みます。土支田通りを超えると大泉町エリアに入ります。現在開通しているのは大泉町2丁目60番付近、別荘橋通りまで。この先もすでに大半の用地は確保されているのがわかります。
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中里泉公園を通り、白子川を渡ると、外環道と交差します。この外環道との交差地点に大泉町駅が予定されています。大泉三丁目地区地区計画では、補助230号線沿いは建物の5階以上の高さを制限し、景観に配慮しつつ、商業利用を促進するとのことです。また、駅前に広場を整備するそうです。
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周囲には、外環道にまたがるように「大泉町もみじやま公園」という緑豊かな公園があり、また先ほどの中里泉公園のような湧水地がいくつかあります。
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現在大泉町エリアからは、西武池袋線の大泉学園駅、東武東上線・東京メトロの和光市駅に頻繫にバスが出ています。練馬区によると、開通すれば新宿までの所要時間は23分短縮されます。
大泉学園町駅(仮称)
大泉町駅から先も補助230号線は未着工ですが、用地確保が進んでいるのが見えます。
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大泉学園町は碁盤の目のように整備されており、また名前が示す通り大学を誘致して学園都市となる予定でした。「風致地区」に指定されていて、開発に制限があり、緑地も多く整備されています。落ち着いた住宅街です。
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大泉学園町駅は、大泉学園通りと交差する大泉学園町4丁目27番の、現在「ヤマダ電機テックランド大泉学園店」あたりに計画されています。練馬区によると、「利便性の高い駅前広場を確保し、店舗やサービス施設等が連続して立地するにぎわいと活気のある快適な商店街を形成」するとのこと。
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計画ではここ大泉学園町駅が終点となる見込みです。大泉学園町駅は西武池袋線の大泉学園駅から約2キロほど離れていて、現在はバスが頻繫に出ています。練馬区によると、開通すれば新宿までの所要時間は21分短縮されます。
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まとめ
練馬区の悲願であった大江戸線の延伸が、ぐっと近まりそうです。沿線は住宅地と畑が広がる閑静なエリアでしたが、補助道路の開通によって商業施設なども増えました。新駅が開業すればさらに人口が増え、活気のあるエリアとなるでしょう。課題は混雑対策となり、都と区が一体となったまちづくり、利便性向上が期待されます。光が丘エリアの住民にとっては延伸は始発列車を奪われる形となりますが、増発などによって恩恵が受けられればと思います。なお、まずは補助230号線の開通が必要であり、延伸区間の開業の具体的な時期に関しては現在は未定です。
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一方、大泉学園町駅より先の東所沢駅までの区間は採算性に問題があるとされ、目途はたっていません。計画上は、埼玉県新座市内に新座中央駅(仮称)、東京都清瀬市内に清瀬北部駅(仮称)、そして埼玉県所沢市の東所沢駅と3駅が計画されています。
新座中央駅、清瀬北部駅、東所沢駅の予定地をめぐってきた記録はこちら。
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