有楽町線延伸(豊洲~住吉間)について
事業概要
2022年3月に決定した東京メトロ有楽町線(都市高速鉄道第8号線)の延伸(豊洲~住吉間)について、今回ルート案と新駅設置が明らかになりました。
有楽町線の延伸案とは、江東区の有楽町線豊洲駅から半蔵門線住吉駅までの約5.2kmを有楽町線の支線として開業するものです。豊洲駅から新木場方面に向かって分岐し、枝川地区、東陽町を経て四ツ目通りを北上、住吉駅を目指します。途中、中間駅として枝川地区に一駅、東京メトロ東西線と接続する東陽町駅、千石(せんごく)地区に一駅の3駅が設定されます。2030年代半ばの開業を予定しています。この延伸区間を「豊住線」と呼ぶこともあります。有楽町線はすべて10両編成のワンマン運転です。
有楽町線の延伸は、再開発が進む豊洲駅周辺の交通アクセス向上や、長年の課題であった南北の移動の利便性向上、東西線の混雑緩和などの効果が見込まれます。また、有楽町線と相互乗り入れしている東武東上線や西武池袋線の走る東京西部・埼玉西部から臨海副都心へのアクセス向上、半蔵門線とその乗り入れ先の東武スカイツリーラインと接続することにより東京北部・埼玉東部からのアクセス向上もはかられます。特に、南北の移動は大きな課題であり、現在は都営バスが頻繁に運行されるほど交通量の多いルートです。
路線予定図
延伸案は豊洲駅を起点に、すぐに左に大きく曲がり区道下を進みます。豊洲運河、平久運河を横断し、首都高速9号深川線と交差するあたりの枝川2丁目あたりに「枝川駅」を建設。その後、汐見運河を斜めに横断してJR京葉線と交差し、左折しながら、四ツ目通りに通じる区道の下を進みます。東陽町で東京メトロ東西線と接続し、四ツ目通りを北上、千石2丁目交差点付近が「千石駅」予定地です。その後北上し、東京メトロ半蔵門線押上駅に入ります。
運転間隔は朝ラッシュ時5分間隔、日中7分30秒間隔、夕ラッシュ時6分間隔で、10両編成で運行され、豊洲~住吉間の所要時間は9分35秒を見込んでいます。
実際に歩いてみた
豊洲駅
近年の再開発の結果、豊洲は高層マンションやオフィスビルが立ち並び、大規模ショッピング施設もできるなど、大きな発展を遂げました。豊洲駅は接続路線がゆりかもめのみにもかかわらず、昨年度の東京メトロ全体の乗降客数ランキングで6位になるほどの混雑する駅です。西武線に直通する着席通勤列車「S-TRAIN」の起終点駅でもあります。
駅開業当初から延伸案(以下「豊住線」とする)のための用地が確保してあり、2面4線の構造で、使われない豊住線用のホームが存在していました。東京オリンピック開催による混雑緩和のため豊住線用2、3番線の線路上には覆いがなされ、現在は事実上1面2線の構造となっています。
豊住線開業時には再びこの覆いがはがされ、住吉方面の列車が発着します。この線路は月島駅側で本線と接続しています。豊住線が使う線路の枝川駅(仮称)方面は左にカーブしているのがわかります。
2022年8月24日追記 豊洲駅では豊住線開業とともに、混雑対策のため新木場方面行きホームを1面新設するそうです。そのため、3面4線となります。新しい改札口も設置されるようです。
豊洲駅を出ると豊洲小学校と深川第五中学校の間の区道下を通って豊洲運河、平久運河と交差し、枝川駅に進みます。
枝川駅(仮称)
枝川駅は区道と首都高速9号深川線との交差するあたりに設置されるようです。都営バスの「枝川二丁目」バス停やデニーズ江東枝川店のあるところです。
箱型地下3層の構造で、1面2線の島式ホームになります。出入口は3か所です。
この先で深川車両基地への出入り線が作られます。車両基地は地上にあるため、途中で地上に出る形になります。配線図的には豊洲側から方渡り分岐で車両基地に接続します。
2022年8月24日追記 車両基地への引き込み線は作られないとの情報もあります。
枝川駅を出ると、汐見運河を斜めにくぐり、JR京葉線と交差します。深川車両基地の下を抜けて区道下を進み、汐浜運河を横断して東陽町に入ります。
東京メトロ深川車両基地
豊住線からの出入り線が作られる深川車両基地は、東京メトロ東西線の車両基地です。東西線東陽町と南砂町駅の間で分岐した出入り線が地上に出て車両基地に繋がっています。豊住線が開業すれば有楽町線の車両も留置されるのでしょうか。
東陽町駅
東陽町駅は四ツ目通りと永代通りの交差点に作られるものと思われます。東西線の東陽町駅は交差点の西側にありますから、L字型またはT字型に接続するでしょう。
箱型地下3層の構造で、1面2線の島式ホームです。出入口は5か所が新設され、既存の東西線用の2か所が改良されます。
建設の目的に東西線の混雑緩和がありますから、ここでの乗り換えやすさは重要です。また、近くに江東区役所があります。
配線図的には、東陽町駅と千石駅との間に両渡り分岐を設置して、輸送障害時に東陽町駅で折り返し運転ができるようにします。
東陽町を出ると、終点の住吉までひたすら四ツ目通り下を進んでいくルートです。
千石駅(仮称)
千石駅は四ツ目通りの千石二丁目交差点の下に作られる予定です。都営バスの「千石二丁目」バス停が最寄りです。近隣には川南小学校や東京都立大江戸高校などがあります。
箱型地下2層の構造で、1面2線の島式ホームとなります。出入口は4か所設置されます。保線用車両の留置線も設置されるようです。
ちなみに「千石駅(せんごく、読み方も同じ)」は都営三田線の駅(文京区)に既にあるため、混乱を避けるために別の名称になるかもしれませんね。なお、千石地区ではなく隣の千田地区のほうがいいのではという意見もネット上で見かけました。
配線図的には千石と住吉の間に両渡り分岐が設置されます。
住吉駅
住吉駅は半蔵門線と都営新宿線が発着する駅で、四ツ目通り沿いに半蔵門線の駅があります。
豊住線用に新しい駅舎が作られるのではなく、半蔵門住吉駅開業時に既に作られていた豊住線用のホームを使用します。将来豊住線が発着するホームには柵がなされ、現在は半蔵門線の車両の留置線として使われています。また、住吉駅には都営新宿線も発着しています。
住吉駅は1面2線の島式ホームが上下線で2層になった構造で、全体で2面4線になります。あらかじめ半蔵門線と豊住線との対面乗り換えを前提とした構造です。
豊住線に通じる部分には覆いがされています。開業すれば半蔵門線との対面乗り換えが可能です。また、現在車両の留置線として使われていることからわかるように、半蔵門線と線路が繋がっています。
おまけ
実は8号線の延伸計画は住吉から先も存在しています。現在は構想段階に過ぎませんが、住吉から先は錦糸町、押上、四ツ木(住吉~四つ木間は半蔵門線と共用)、常磐線の亀有、越谷レイクタウン、八潮を経て野田市まで伸びる構想です。「東京直通鉄道」とも呼ばれ、有楽町線の延伸としての路線のほかに、野田市~八潮間を先行開業してつくばエクスプレスに乗り入れる構想もあります。今後の動向に期待したいと思います。
また、半蔵門線(11号線)にも延伸案はあり、押上から四ツ木を経由して金町、松戸まで行く構想です。実際に半蔵門線押上駅の折り返し線の終端部には、延伸が可能な用地が用意されています。
まとめ
かねてから都市計画にあった有楽町線の延伸ですが、営団民営化時に副都心線を最後に新線整備を行わない方針としたため、延伸区間は整備主体が不在のままでした。しかし江東区の長年の努力の結果、その後2021年に東京メトロと国、都の間で合意し、2022年3月に東京メトロ南北線延伸とともに国の許可がなされた経緯があります。
延伸によって、長年の課題であった南北の移動がスムーズになるほか、臨海副都心へのますますのアクセス向上や地域住民の利便性向上といった大きな効果が見込める路線です。また、これまで鉄道のなかった中間駅地区の今後の発展が望まれます。
また進展があったら見に行きます。
【参考】
国土交通省 「東京地下鉄株式会社「有楽町・南北線の延伸」に係る鉄道事業許可について」
江東区 「地下鉄8・11号線の延伸」※押上以北についても書かれています。
コメント
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