東京のベイエリアと都心を結ぶ「東京BRT」は、2024年2月1日より新たに「選手村ルート」をオープンしました。これにより、東京BRTは「幹線ルート」「晴海・豊洲ルート」「勝どきルート」に加えて4路線が設定されます。
新たに設定された「選手村ルート」は、新橋と晴海五丁目地区とを結ぶルートです。晴海五丁目は、東京2020オリンピック・パラリンピックの選手村として活用された「HARUMI FLAG」や、今後オープン予定の商業施設などが建ち並ぶ新しいエリアです。
「選手村ルート」開設に伴って新たに3つの停留所が新設されます。1つ目の「B31 はるみらい」は環二通りから入ってすぐのHARUMI FLAG Port Village A棟及び中央地区清掃工場付近に、2つ目の「B32 晴海ふ頭公園」はHARUMI Flag Park Village B棟及び晴海ふ頭公園付近に、3つ目の「B33 HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)」はHARUMI FLAG Sun Village D棟付近に設置されています。
新橋~HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)の所要時間は11分。平日朝ラッシュ時は10分間隔、夕ラッシュ時は10~13分間隔、日中は20分間隔で運行しています。
運行は、新橋~HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)のほか、晴海ふ頭公園を通過する便や、HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)~豊洲市場前・国際展示場間の便も設定されます。また、「選手村ルート」は「勝どきBRT」を通過します。
東京BRTの車両は、水素で走る次世代型のバス(燃料電池バス)や、一度に大量の乗客を輸送できる連節バスが使われています。
さらに、晴海五丁目ターミナルは東京BRTだけでなく、都営バスや江戸バスといった他の路線バスや、コミュニティサイクルポート、そして、2024年春より運航開始する「舟旅通勤」の拠点となるマルチターミナルとして整備されます。
東京BRTの新橋バス停にやってきました。
HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)行きは、虎ノ門ヒルズ行きののりばから出発します。同じ方面である豊洲・東京テレポート方面ののりばではないので注意してください。
路線図では、HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)行きは赤で表現されています。東京BRTではバス停は駅と呼ぶようです。HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)~国際展示場のバスも表示されています。
路線網が増え、東京BRTは臨海部の主要な交通機関となりました。
10:14、HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)行きのバスが到着です。燃料電池バスでやってきました。
側面にも、「選手村ルート HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)行き」と表示されるので安心です。
運賃は、おとな220円、こども110円の均一運賃。また、「IC乗継割引」が設定されます。
「IC乗継割引」:新橋、勝どきBRT、豊洲市場前(ミチノテラス豊洲含む)、はるみらい、HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)の5停留施設でBRT同士を交通系ICカード(PASMO、Suica)で乗り継ぐ場合に適用される割引制度(2乗車目無料)。1乗車目のIC支払時から60分以内に2乗車目のBRTへ乗り継ぎ、同一のICカードでお支払いいただいた際に適用されます。乗割引は交通系ICカード(PASMO、SuiCa)をお持ちの方お一人に限り適用し、同じ交通系ICカードで支払う同伴者分の運賃には適用されません。乗継割引は、3乗車目には適用されません。
東京BRT HPより。
早速乗り込みます。
東京BRTは2020年10月に運行を開始。BRTとは「Bus Rapid Transit(バス高速輸送システム)」の略です。東京BRTでは専用レーンなどはありませんが、停車バス停を絞り、定時性を確保しています。大型の連節バスで大量輸送が可能なのも魅力です。BRTは鉄道輸送に比べて建設コストが低いのが魅力で、国内でもBRTと呼ばれる交通機関が増えてきました。
「選手村ルート」の特徴は、途中の「勝どきBRT」を飛ばすこと。新橋を出ると次は早速新たな停留所である「はるみらい」に停まります。
環二通りに入ると、汐留ランプから昨年新たに開業した築地虎ノ門トンネルに入ります。
続いて築地大橋を渡り、勝どき地区に向かいます。
勝鬨橋の途中で、東京BRTの豊洲方面行きの連接バスを追い越しました。あちらは「勝どきBRT」に停まるため、隣の車線を走っています。
勝どきBRTに停車するバスは交差点の方に降りる必要がありますが、こちらは通過するためオーバーパスで晴海方面に進めます。「選手村ルート」が勝どきBRTを飛ばすのは、晴海五丁目地区の住民用にいわば遠近分離するほか、定時性が増すという要素もあるでしょう。
バスは月島警察署の交差点を右折し、晴海五丁目に入ります。早速HARUMI FLAGの荘厳なマンション群が見えてきました。2020東京オリンピック・パラリンピックの選手村として使われた施設です。
すぐに「はるみらい」に到着です。向かい側の停留所にもバスが到着していました。「はるみらい」は中央清掃工場とHARUMI FLAG Port Village A棟の前にあります。
「はるみらい」の隣には、三井ショッピングパークの商業施設「ららテラス HARUMI FLAG」がオープンを待っていました。オープンは3月1日。ららテラスはスーパーなどを核とした都市近郊向けの商業施設です。
続いて「晴海ふ頭公園」に到着です。「晴海ふ頭公園」バス停は、晴海ふ頭公園に突き当たる手前のHARUMI FLAG Sun Village F棟とHARUMI Flag Park Village B棟の間にあります。晴海ふ頭公園からは眼前にレインボーブリッジを望む美しい景色が見られます。夜景も有名です。
バスは朝潮埠頭をまわって終点のHARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)に到着しました。まさにあっという間の11分でした。
晴海五丁目ターミナルでは目下工事が進んでいて、現在は仮の停留所に停車します。広大なスペースが公共交通のターミナルとして整備されていて、今後は賑わうことでしょう。
現在は東京BRTのみがこちらに乗り入れているため、東京BRTの車両がずらりと並んでいました。
都営バスの停留所は完成しているようです。現在晴海埠頭発着の系統がこちらに乗り入れるのでしょうか。晴海埠頭からは現在、東京駅丸の内南口行き、四谷駅行き、錦糸町駅前行きが出ています。
「舟旅通勤」の船着き場もいまだ工事中。この春に運航開始予定です。名称は「晴海五丁目船着場」となります。
コミュニティサイクルポートも広めに整備されています。docomoのバイクシェアサービスが入っていました。
晴海五丁目ターミナルは完成すればこのような形になるようです。東京BRTは4つの停留所を使用します。
東京BRT以外のバスの案内はまだなされていません。江戸バスとは中央区のコミュニティバスです。
今度はHARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)から豊洲市場前行きのバスに乗ってみることに。12:20発の豊洲市場前行きです。
こちらも燃料電池バスがやってきました。豊洲市場前まではたったの2駅ですが、驚くことに乗客は先ほどの新橋からのバスと同じくらいいました。
豊洲市場前行きは「晴海ふ頭公園」には停まらないため、「快速」と表示されます。ららテラス HARUMI FLAGとHARUMI FLAG Sun Village D棟の間の道を抜けて「はるみらい」に到着です。
「はるみらい」を出ると環二通りに入り、豊洲大橋を渡ります。
すぐにメブクス豊洲前の「豊洲市場前」に到着です。
目の前にはオープンしたばかりの豊洲の新名所「千客万来」が万来の客を集めていました。
私はこのあとさらにIC乗継割引を使用して国際展示場行きの東京BRTに乗りました。
東京BRTは「プレ運行一次」「プレ運行二次」と徐々に路線を広げてきましたが、ついに路線が出そろい「本格運行」の段階に入ったという形です。特に晴海五丁目エリアは新たに作られた街で、東京BRTはその基幹となる公共交通になります。現在は晴海五丁目ターミナルなどは整備途中といった雰囲気でしたが、今後は利用者も大幅に増大し、なくてはならない存在になるでしょう。また、将来的には、銀座、東京駅方面への延伸や、東京ビッグサイトへの乗り入れも検討されているそうです。
また、晴海五丁目ターミナルからこの春開設される「舟旅通勤」の晴海~日の出ルートにも、実際に乗ってみたいと思います。
東京BRTの連接バスに乗車した記録はこちら。